東屋

TOP > works > 東屋

それは数年前のある日突然鳴った電話から始まった。
ある公園の東屋の設計の依頼であり、その経緯は納得のいくもので
はなかったが、電話の主の切羽詰まった状況を思い引きうけることと
なった。数日後その東屋の件でデザイン委員会があり、出席するよう
にとの連絡を受けた。デザイン委員会の後、手詰まり状態になり、先
輩のKu氏に連絡を取った。Ku氏との討論の後設計を着手し無事着工
された。構想は反映されただろうか?デザイン委員会からその後の
呼び出しはなく竣工した数週間後事件は起こった。 ある朝何気なく
新聞を見ていると、どこかでみたような建物が写っている。一瞬ドキ
リとしたが、よく読んでみると東屋でなく、背景に写っている事務所の
建物について一般の人から抗議が出ているという内容であった。公園
の整備が進み奇麗になっているのに、東屋の背景に不粋な工事事務
所はおかしいのではないか?ということのようである。将来的に工事
事務所は植栽で見えなくなるので問題ありませんというのが、市の答
弁であった。東屋のデザインがについていわれているのではなく、そ
の反対であった。ひとまず安心というところであった。徳島城の公園
の一角にある東屋はその後彫刻家集団から寄贈があり、彫刻と一
緒に助任川の袂に静かに佇んでいる。徳島空港から市内にはいる
時、橋の近くでバスがとまれば城山と一緒に見えるかもしれません。
また機会があればご覧いただければ幸いです。私のお気に入りの
中の一つであることはいうまでもありません。最後まで読んで頂きま
して有り難うございました。

後書

デザインスタディ

公園遠景 1

小屋組 1

小屋組 2

小屋組 3

軒下

ベンチ

彫刻と東屋

屋根伏図
正面図
透視図
側面図

3・DPERS ver 2.0

TOP > works > 東屋

Copyright (C) 天羽英雄 建築設計事務所 All Rights Reserved

天羽英雄 建築設計事務所
URL http://amoarc.com/

770-0913
徳島市南新町2丁目5 AMOビル
tel 088-655-3020
fax 088-655-2126

mail : info@amoarc.com

 

 

 

 

 

「天羽英雄建築設計事務所さんですか?」
「はい、そうですが。」
「所長さんおいでますでしょうか?」
「私ですが?」
「私は○○○と申しますが、突然お電話をいたしまして申し訳あり
が、実はちょっとお願い事がございまして。」
「はあ、どんなご用件でしょうか?」
「実はある公園の東屋を設計しているのですが、デザイン委員会と
いう会がありまして、その会で提案した東屋ではダメだといわれてま
して、その東屋の設計をお願いしたいのですが?」
「はあ、よく分かりませんが、何故私なのでしょうか?」
「実は申し上げにくいのですが、若手の設計者にいろいろお願いした
のですが、デザイン委員会で設計したものについて討議されダメな場
合は却下されるというお話をしましたところで、皆さんにご丁重にお断
りの返事をいただいて残るところは天羽さんになってしまったのです。」
「はあ、またそれも凄いお願いですね。で委員長はどなたですか。」
「引きうけていただけるのなら言いますが...。」
「なんかそれも凄いですね。どうして言えないのでしょう?」
「えー、委員長のお名前を言うと途端にお断りされまして...。」
「はあはあ、学習されたということですね。だいたい検討は付きます
が、K教授あたりじゃないですか?」
「お察しの通りです。あとグラフィックデザイナーのB氏も委員です。」
「これまた、錚々たるメンバーですね。僕も逃げたいですね。」
「受けていただけますでしょうか?」
「少し考えさせていただけませんでしょうか?」
「時間が無いので、今ここでお返事を頂きたいのです。あと少ししまし
たら、報告しなければならないので時間の猶予がないのです。受けて
いただけますね。」
「最初の電話から凄いですねー。なんかお断りできないようですね。」
「助けると思って引きうけてください。」
「はあ、お力に添えるかどうか分かりませんが、お引き受けすることに
いたします。」
「ありがとうございます。恩にきます。よろしくお願いいたします。」


戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

K委員長

「だから、このようなありきたりの東屋では徳島の顔にならないと思いませんか?」

「はい、その通りだと思います。では先生はどのようなものが良いとお考えでしょうか?」

K委員長

「和と洋をアウフヘーベンしたようなデザインだね。そうそう、
三角形は絶対に入れるべきだよ。」

「分かりました、和と西洋の統合ですね、しかも三角形が入っているということですね。Bさんはどうお考えでしょうか?」

B委員

「いやいや、私などが申し上げるべきことはございません。
建築家として存分に思いのままにおやりください。」

私(建築家と呼ばれたのが初めてで、しかもグラフィックデザイナー
のB氏だったのでちょっと上がってしまった。)

「うーん、そうおっしゃっていただくのは嬉しいのですが、そのほうがもっと厳しいですね。これだけしか出来ないのかと思われると辛いですね...。他の方が断ったのはそういうことなのかな(笑)。とにかく全力をつくします。」

戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、困ったことになりました。和と洋の融合だそうです。また、この公園は川沿いにあり、将来船着場として機能するかもしれないので考慮する必要がありそうです。Kuさんはどのようにお考えですか?」

Ku氏

「ほらほうでえ、船着場になるかもしれんもんなあ。ひょうたん島構想っていうん、天羽君もしっとるだろう。しかし、参ったなあ三角形が余分やなあ。」

「ええ、そうなんですよ。和と洋の統合というのはよくあるんですが、三角形という直接的なものを提示されると痺れますね。あれは洋そのものですからねえ。」
Ku氏

「うんうん、ほなけん和ちゅうんはあまり気にせんとな、やったらええんとちゃうか?」

「しかし、いくらなんでもそれは出来ませんよ。何かいい案がありますか?」
Ku氏

「ふっふっふ、僕が思うにな、こんながええんとちゃうんかいな?と思うんよ。この磯崎さんのやつな。」

「えー、これですかぁ、これねえ、磯崎さんねえ。ちょっと違うんと違いますか?これは出来んですねえ。これは僕のイメージと違いますから。」
Ku氏(少しムッとして)

「ほな、天羽君の思うとるところ聞かせて貰おうか?」

「はい、僕が今思っているのはですね、和は木で、洋はコンクリートだと思うんですよ。で、船着場ということがありますので、船を暗喩するデザインが必要だと思うんです。問題は三角形です。これをどう処理するかにかかっていると思うんです。」
Ku氏

「なんや、出来とるやんか。ほな自分の思うようにやってみ。心配することないわ。僕の思とるとことちょっとちゃうけど、お手並み拝見やな(笑)。」

「あー、またほんな事ゆうてからに。ほなけん皆逃げたんとちゃうんやないですか(笑)。ほなけど話をしてたら見えてきました。有り難うございました。」

戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

和と洋の統合をいかに図るべきか?その答えとして、材質で和と洋を表現しようとした。木は和であり、日本の建築につながるデザインコードとして採用した。

コンクリートは硬質であり、木の柔らかさ、湿りに対して、乾いており対立させるイメージとしては最適でないかと考えた。問題は3角形である。これは小屋組を洋組として3角形をイメージさせるようにデザインをした。

もう一つ別の問題として、コンクリ−トと木の経年変化による色の違いを心配する意見もあったが、これについては無色の防腐剤を圧入することにより、木の日焼けがコンクリートの色に近くなることを計算にいれた。従来の着色では経年変化に美観が対応できない。そこで、自然に日焼けすることを選んだ訳である。 このことは色を着色として考えるのではなく、素材の持つ色こそを色として考えることにより解決できる問題でもある。

また、船をイメージさせるために屋根にカーブを与え、船腹を連想するデザインとした。

利用する人たちは親子連れを想定しオムツの交換などができるように大き目に設計した。また車椅子が通過できるようにも配慮した。設計者としてここで昼寝をして楽しんでくれることを望んで設計をしたが、竣工後そっと覗いてみると、昼寝を楽しんでいる人を発見して、思わず笑みを浮かべた。設計意図したことが反映されているのを確認し設計者冥利につきる思いであった。

戻る


















                             カウンター